DVD マスケティアーズ パリの四銃士

BBCによる公式動画

NHKでも『マスケティアーズ パリの四銃士』として2016年4月から20回シリーズで放送したもの。NHKではシリーズ1と2を一挙放送、それと同時にイギリス本国ではシリーズ3が放送されていました。3で完結です。

この記事は、NHK版に先駆けて観た英語版の内容書こうと思ったんですが、半年放置してしまったため、まだ日本未放送のシリーズ3をメインにします。放置しているうちにNHKの公式サイトも閉じてしまったため、テレビ版のシリーズ1とシリーズ2は後ろのほうで少しだけ触れます。

BBCのサイトに「A thrilling world of action, adventure and romance inspired by Dumas’ legendary characters」とあるように、デュマの『三銃士』にインスパイアされたまったくの別物。デュマ版に登場するキャラクターを用いて、基本的に一話完結型のストーリーとしています。9話10話だけ連続になっているのは3作共通。司馬遼太郎の『新選組血風録』(これもNHKでした)と似たような構成かなと。原作と同じなのは登場人物のみ、歴史構成もめちゃくちゃです。勧善懲悪痛快時代劇として楽しむべき作品。

デュマの原作にあるメインエピソードは、これでもかというほど徹底的に削ってあります。バッキンガム公や王妃の首飾り事件は一切出てこないうえ、ラ・ロシェル攻囲戦も無し。シリーズ3はシリーズ2の4年後という設定ですが、ルイ十三世が「父王アンリ四世の25回忌」と語っていたのにその年に死んじゃったので(本来33年後に死去)、ホントに時代考証もめちゃくちゃです。個人的には、リシュリューの出てくるシリーズ1がいちばん好みです。

2016年に管理人は1,2,3ばらばらに購入しましたが、海外ではシリーズ1,2,3のコンプリートコレクションが発売済です。日本語版は2017年2-3月に発売。各5枚組としては良心的な価格です。

DVD THE MUSKETEERS Series 3

  • 出演: Tom Burke, Santiago Cabrera, Howard Charles, Alexandra Dowling, Ryan Gage
  • 監督: Matthew Bird
  • 言語 英語
  • 字幕: 英語
  • リージョンコード: リージョン2(EU)
  • ディスク枚数: 4
  • 販売元: BBC
  • DVD発売日: 2016/08/15
  • 時間: 555 分

鑑賞メモ・第一話導入部

BBCによる公式動画

シリーズ3を再生して思わず喜んでしまったのが、第一話、テーマ音楽より前の導入部分。BBCからも公式の部分動画が出ていました。『アラトリステ』のロクロワの戦いとも似た、フランスVSスペインの野戦シーンです!

長槍揃えて砲撃を加えてくるスペインに対し、フランスはまさかの歩兵突撃…騎兵じゃないですよ、歩兵です。なんじゃこの戦法、と思いきや、弾薬の補給がないがゆえで、アトスが「剣では砲に勝てません」と訴えた先の将軍も根性論の無能司令官。再度歩兵によるサーベルチャージで相手の弾薬を樽ごと爆発させ、結局剣で砲に勝っちゃったことになりますが、実際の戦術としてはまったくもってお粗末ですね。少なくとも、スペイン側に立って考えたら、あんな負け方はしたくない。シーズン3幕開けの、チャンバラ映えのための演出かと思います。

DVD4枚めのおまけ映像にも、このシーンだけのメイキング映像があるので、制作側も力入っているのは確かです。

鑑賞メモ

シリーズ3の敵は、3人の私生児たち(すべて架空の人物)。アンリ四世の私生児(ルイ十三世の異母兄)でパリ市長のフェロン公フィリップ、戦争で成り上がった商人ルシエン・グリモー、そして護衛隊隊長のジョルジュ・マシュー。マシューだけは単なる嫌な奴的な小物ですが、あとの2人は国王死後のフランスを牛耳ろうと思っている悪党たち。ここに王弟ガストン、ロレーヌ公(シャルル四世か二コラ二世か不明)なども加わります。ミレディも出ますが、今回は2回だけの出演でいずれもちょい役。

自分の死期を悟ったルイ十三世の動きがシリーズいちばんの見どころか。逆にシリーズが下るにつれ、敵の早く死ねばいいのに感が増していく気がして、全体的に大味な感じです。敵にも美学というか、共感できる部分があってこそ「良い敵役」と思うのですが。今シリーズではあまりそれが感じられなかったです。

以下、ネタバレ有のあらすじ。

Spoils of War

先に書いたフランス・スペイン戦争のフランス軍の弾薬を、スペイン側に密売しようとしているのを阻止するお話。登場人物たちの顔見せ回。4年間軍務を離れて修道士になっていたアラミスが復帰。

The Hunger

パリの穀物を買い占めて儲けようとしているフェロンとグリモーの企みを阻止するお話。罪を擦り付けられるのが移民街に住む人々。そこに住むシルヴィーという北アフリカ系女性が今シリーズのヒロイン。ちょっと思想がかってて危なそうだけどね。

Brother in Arms

オルレアン公ガストン登場。財布を盗まれたといって兵士たちを3人殺してしまったために、彼ら古参兵一派とひと悶着になる。実は財布の中身は謀反に加担する貴族のリスト。それを取り戻すための攻防となる。ここでルイ十三世があと数か月の命ということが判明する。

The Queen’s Diamonds

「王妃のダイヤモンド」。例の首飾り事件かと思いきや、ここの王妃はルイ十三世王妹でイングランド王妃のヘンリエッタ=マリア。戦争の資金繰りのために持ち出した宝石類を盗まれ、それを取り戻すための攻防となる。シリーズ1で出てきたペテン師、ボネールが再登場。

To Play the King

王太子の誕生日。その隙に国庫から財宝を盗もうとするフェロンとグリモーのたくらみを阻止するお話。パリの牢獄が破られ、自分が国王だと錯覚している狂人も脱獄する。4話5話と、この3シリーズ通じて唯一出てきたオランダ人はここで殺されてしまいます。

Death of a Hero

「英雄の死」。グリモーはダルタニャンとポルトスを罠にかけ、建物ごと爆破して下敷きにする。フェロンは国王ごとアラミスを亡き者にするはずが、弟を殺せず、ここでフェロンとグリモーは決裂。意外にもこの早い段階でフェロンが退場します。

Fool’s Gold

グリモーとガストンを追う四銃士たちは、途中で女たちだけの村に立ち寄る。ここを襲う盗賊一味と戦う、という閑話休題回。

Prisoner of War

独自にスペインと和平を模索する王妃の使者となったアラミスが、グリモーの手に落ちる。一方、トレヴィルからある任務を請け負ったミレディが再登場。(嫉妬?からシルヴィーを逮捕させたりとか、アトスに対し未練たらたら)。アトスががんばる回。

The Prize

死に回。とにかく巻きが入ってたくさん死にます。まずは国王がとうとう病死。同時にガストンはロレーヌ公とともにパリ郊外に軍を配備する。その間、王子の摂政になったトレヴィルが王子を宮殿から逃がし、グリモーは反乱の旗印とするため王子の身柄確保を企む。ガストンとロレーヌ公の温度差を巧みに利用したトレヴィルはロレーヌ公との交渉に成功するものの、ロレーヌ公もろともグリモーの手にかかる。(ロレーヌ公殺していいのか…∑(゜゜;)。他のシリーズ同様、9回のみ10回との連続話になります。

We Are the Garrison

グリモーの仕掛けた爆薬で「ガリソン(銃士たちの本拠地)」が壊滅する。同時にシルヴィーがさらわれ、奪回作戦でダルタニャンがマシューと一騎討ちになる。グリモーは手負いで逃れるが、次は王太后と新国王のお披露目の場である寺院に爆薬を仕掛け、それを追ったアトスが一騎討ちの末グリモーを倒す。トレヴィルの依頼した仕事を王妃が引き継ぎ、ミレディーにガストンを始末させる。(ガストンまで殺していいのか…∑(゜゜;)。大団円では、ポルトスは将軍に昇進して前線に行くことになり、アトスはダルタニャンに銃士隊長を譲って自分はシルヴィーとパリを離れた(ラ・フェール伯爵に戻った?)。アラミスはトレヴィルの跡を継いで宰相となる。

…というわけで、マザランの位置がアラミスなのね、というのが鑑賞後最初の感想です。

DVD THE MUSKETEERS Series 1

  • 出演: ルーク・パスカリーノ, トム・バーク, サンティアゴ・カブレラ, ハワード・チャールズ, ヒューゴ・スピアー
  • 監督: Farren Blackburn, Richard Clark, Andy Hay, Toby Haynes, Saul Metzstein
  • 言語 英語, 日本語
  • 字幕: 日本語, 英語
  • リージョンコード: リージョン2
  • ディスク枚数: 5
  • 販売元: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • DVD発売日: 2017/02/03
  • 時間: 529 分

鑑賞メモ

※管理人は日本版発売前にイギリス版を購入したため、日本語版のレビューではありません。日本語版もおまけ映像はついているようですが、合計時間が21分ほど短いので、おまけのどれかがカットされている可能性があります。

シリーズ1の敵はリシュリュー枢機卿。とはいえ、通常の『三銃士』のようないかにも悪役な描かれ方ではありません。ルイ十三世のため、ひいてはフランスのため、という芯は決してブレず、その方法が手段を選ばず過激なため(ルイが「王妃が死ねばいいのに」と言ったがためだけに王妃の命を狙ってみるとか)、トレヴィルや銃士たちとその方法論が相容れないだけ、という体を保っています。なので、利害の一致をみれば当然トレヴィルとも協働しますし、リシュリュー自身の命の危機には銃士たちも味方になるわけです。ミレディーを全く信用していない感じも非常に良い。

そしてこのシリーズ、まずはポルトスがムーア系の出自という設定に最初は驚くと思います。人種とか、女性の権利とか、いかにも現代的なトピックスがちらほら。そしてこのシリーズでいちばんのみどころは6話のマリー・ド・メディシス回。「徐倫かよ!」って思わずツッコみたくなる髪型からリシュリューとの嫌らしい応酬まで、非常に楽しめた回でした。

  1. 敵か味方か Friend and Enemies
  2. 鮮やかなトリック Sleight of Hand
  3. 気に食わない任務 Commodities
  4. 裏切り者 The Good Soldier
  5. 吹きだまりの帝王 The Homecoming
  6. 国王の母 The Exiles
  7. 魔女にされた伯爵 A Rebellious Woman
  8. 銃士隊と親衛隊 The Challenge
  9. 王妃の危機 Knight Takes Queen
  10. 皆は一人のために Musketeers Don’t Die Easily

DVD THE MUSKETEERS Series 2

  • 出演: ルーク・パスカリーノ, トム・バーク, サンティアゴ・カブレラ, ハワード・チャールズ, ヒューゴ・スピアー
  • 監督: Colin Wratten
  • 言語 英語, 日本語
  • 字幕: 日本語, 英語
  • リージョンコード: リージョン2
  • ディスク枚数: 5
  • 販売元: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • DVD発売日: 2017/03/03
  • 時間: 529 分

鑑賞メモ

※管理人は日本版発売前にイギリス版を購入したため、日本語版のレビューではありません。日本語版もおまけ映像はついているようですが、合計時間が41分ほど短いので、おまけのどれかがカットされている可能性があります。

1話いきなりリシュリューの葬儀から始まり、敵役交代。シリーズ1では出てこないなー、と思っていたロシュフォール伯爵がシリーズ2を通しての敵役です。実はスペインのスパイでもあるロシュフォールは巧みに国王に近づき、宰相となります。ポルトスの過去回、アトスの過去回もあります。ミレディはここでは比較的銃士側の味方として立ち回ります。実はロシュフォールは王妃アンヌに想いを寄せていたのが、王妃とアラミスとの関係を知ったことで、まさに愛憎の変を地でいくことになり、アトス共々男性陣の女々しさが目立つシリーズでした。

  1. 危険な男 Keep Your Friends Close
  2. 庶民になった国王 An Ordinary Man
  3. 正義の反逆者 The Good Traitor
  4. 天使が見た悪夢 Emilie
  5. 嘆きの領主 The Return
  6. 選べない選択 Through a Glass Darkly
  7. 姫の秘め事 A Marriage of Inconvenience
  8. 親父の真実 The Prodigal Father
  9. 愛と憎しみの炎 The Accused
  10. 愛に負け、愛に勝つ Trial and Punishment

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